毒親育ちの人は、「人から何かしてもらうのが苦手」「人の厚意を素直に受け取るのが苦手」という人がとても多いようです。
私自身もそうです。
どうして人からの厚意を苦手に感じてしまうのか、考えてみたいと思います。
相手から見返りを期待されるのが怖い
人から何かしてもらったとき、「ありがとうございます」と素直に受け入れられれば楽なのに、それが出来ず「すみません」と謝ってしまったり、申し訳なさから、いっそ「構わないでほしい」「放っておいてほしい」と感じてしまうことがあります。
これはおそらく、無償であるはずの親の愛情が常に条件付きで、親の愛情を得るためにはいつもその条件をクリアしなければならなかったからではないでしょうか。
だから、相手が厚意でしてくれたことに対して、「後々、見返りを求められるのでは」と身構えてしまうのです。
さらに、毒親育ちは自己肯定感が低く「自分は価値のない人間だ」と無意識に思い込んでいる傾向にあります。
「見返りを期待されても、私なんかはその期待に応えられない」「期待に応えるために何をしたら良いか分からない」と自分を追い詰め、息苦しくなってしまいます。
そうならないために人からの厚意を避け、人に甘えられなくなっていくのです。
相手に対して不信感を抱いてしまう
また、幼少期から親の顔色を窺ったり、親から愚痴のはけ口にされたりして過ごしてきたことも関係しています。
人から優しくされたとき、「表向きはこうして優しくしてくれるけれど、裏では嫌われてているのではないか」「自分が知らないところで悪口を言われているのではないか」と、どうしても不信感を抱き、疑ってしまうのです。
たとえば私は、他人の中でも特に、義両親とどう接したら良いのかが分かりません。
以前書いたことがありますが、母から「私の娘だから優しくしてもらえるだけ」といつも言われ、私個人には何の価値もないんだなと感じていたため、義両親と会うたび「息子の妻だから優しくしてもらえるだけ」と感じてしまいます。
さらに義両親や夫の兄弟について、母が事あるごとに悪く言うので、同じように義両親も、私や母のことを悪く言っているのではないかと考えてしまうのです。
そしてその恐怖心から、余計顔色を窺うようになってしまい、自分の意見が言えなくなっていくという負の連鎖に陥っています。
人からの厚意を受け入れるにはどうしたらいいのか
そんな中、以前勤めていた会社では、人の厚意を素直に受け入れられる自分がいました。
義両親の前の私と、会社での私との違いは、間違いなく「自信」があるか、ないかだと思うのです。
義両親の前で感じるのは、自分の性格や育った家庭環境、収入などの負い目や劣等感ばかり。
しかし会社では(微々たるものですが)そこそこ結果を出していたため、やりがいを感じ、自分にも自信を持っていました。
仕事上で育った環境(母子家庭など)を詮索されることはほぼないですし、同僚は収入もさして変わらない。
それよりも、結果の方が重視されていたため、負い目を感じることもなかったのです。
では、人からの厚意を素直に受け入れられるようになるには、どうしたら良いのか。
それにはやはり、自分で自分を受け入れ、自己肯定感を高めなければなりません。
「自分には価値がない」「自分はダメだ」と思い込むのをやめて、「自分は自分のままで大丈夫」「自分のことが好き」と思う(言ってあげる)必要があります。
「そんなこと全く思ってないのに言えない!」と思うかもしれません。
それまで「自分には価値がない」と、親に思い込まされ、自分でもそう感じ続けてきたのだから当然です。
しかし心というのは、何度も何度も言い聞かせると、それを「本当のことだと信じる」という仕組みがあります。
だからすぐにはそう思えなくても、何度も言い聞かせることが大切です。
そして、言い聞かせる言葉は肯定文にする必要があります。
たとえば、否定形や願望形はダメです。
- 「自分はダメな人間ではない」
- 「自分を好きになりたい」
これがなぜダメかというと、今の自分を認めていないからです。
- 「(今はダメかもしれないけど)自分はダメな人間ではない」
- 「(今は自分を好きではないけれど)自分を好きになりたい」
このように、今の自分を認めていない文を言い聞かせると、心はそれを信じてしまいます。
これまで「自分には価値がない」言い聞かせてきた回数以上に、これからは「自分は自分のままで大丈夫」「自分のことが好き」と、言ってあげてください。
何度も何度も繰り返せば、だんだんと心はそれを信じるので、自信も少しずつ生まれてくると思います。
そうしたら、少しずつ少しずつ、人からの厚意を受け入れられるようになっていくはずです。