親にとって理想の子供は、親から好かれるために「いい子」を演じています。
しかし次第に、演じている「いい子」と本当の自分との間にあるズレがどんどん大きくなっていき、子供は苦痛に感じるようになってしまいます。
目次
「いい子」には自分の価値観がない
親や周りの評価を常に気にして、それに合わせて自分を演じることはとても疲れることです。
また、評価されているのはあくまで「演じている自分」であって、本当の自分は誰からも評価されないことに虚無感を抱きながら過ごさなければなりません。
すると誰かに受け入れてもらうことで育っていくはずの自己肯定感が生まれず、「自分には価値がない」という気持ちを持つようになってしまいます。
自分で考え意見を主張するよりも、親に従っていた方が安全で精神的にも楽なため、「いい子」を演じている子供は反抗期を経験することがあまりないといわれています。
反抗期がないということは、自分の価値観を自分の中で確立する機会を失うということにもなります。
自分の価値観がなければ他人がどう思うかで物事を判断するしかなく、さらに自分の考えに自信がなくなり、ますます意見を主張することができなくなって、悪循環から抜け出せなくなってしまいます。
「いい子」を続けると起こること
「いい子」を演じ続けてしまうと、こんなことが起こります。
当てはまるものがあったら要注意です。
自分で考える力が失われる
誰かの意見に従う方が楽だからといっていつも人に合わせてばかりいると、周りに誰もいなくなったときや何も指示がないときに、どうしたらいいか自分だけでは分からなくなってしまいます。
また、他人から「都合のいい人」「NOと言えない人」と思われてしまい、無理なお願いをされるようになってしまうこともあります。
演じることに疲れる
演じている自分と本当の自分とのズレによって毎日に疲れてしまい、周りの目を気にして自分を演じるものの、行動に心がついていかなくなってしまいます。
なんだか行動しているのが自分ではないような感覚に陥ったり、「本当の自分」がどこか別のところにいるような気がすることもあります。
さらには、ここではないどこかに自分の「本当の居場所」があるはずだと考えたりもします。
つらくても嫌われたくない
自分が自分ではないような感覚になってしまうほどストレスを抱えているのに、人から嫌われたくない気持ちから、なかなか演技をやめることができません。
自信がなく、自分で自分を否定しているため「本当の自分なんて受け入れてもらえるわけがない」「嫌われてしまう」という恐怖がいつもあります。
趣味や興味のあること、プライベートの話ができない
周囲の意見を優先しそれに合わせてきたため、自分がしたいことや興味のあることが分からなくなってしまいます。
仕事などの話は問題なくできるのに、趣味やプライベートの話が苦手になっていくこともあります。
人生に疲れる
自分の価値観ではなく他人の評価が人生のものさしになってしまっているため、自分の人生なのに全然楽しくありません。
評価を得るために自分を演じ、努力をしてきたはずなのに、評価されればされるほどプレッシャーを感じて疲れ切ってしまいます。
自分の意見を言うために
「いい子」を演じ続けてしまうと、人生が苦痛でしかなくなってしまいます。
でもやっぱり「嫌われるかも」と考えると、なかなか「いい子」をやめることは難しいと思います。
何もいきなり自己主張したり、相手の意見を否定したり、お願いされたことを断ったりする必要はありません。
まずは自分に共感してくれる親しい人に、思ったことや感じたことを口に出す練習をするのがおすすめです。
そうすると、自分の言葉(意見)に共感してもらえることの嬉しさや、「思ったことを言ってもいいんだ」という楽しさを感じられるはずです。
それが「いい子」をやめて、人生を自分が楽しめるものにする第一歩になるのではないかと思います。