家庭内において身体的または精神的虐待、育児放棄(ネグレクト)、対立などが日常的に存在している家庭を「機能不全家庭」、「機能不全家族」と呼びます。
簡単に言えば、家庭崩壊している状態です。
私の育った家庭は、機能不全家庭でした。
父はアルコールと宗教に依存しており、酒(飲まない日はありませんでした)を飲んでは暴れ、母は父に依存しつつ私を支配下に置いてコントロールし、私は母の期待を一身に背負って「いい子」であるよう努力し、年の離れた弟は意見をことごとく否定されて、いつも泣き寝入りするほかないような環境でした。
この記事を書くにあたって、機能不全家庭について改めて調べたところ、両親が育ったのもまた機能不全家庭だったのではないかと考えています。
機能不全家庭の特徴と原因
機能不全家庭には、一般的な家庭にあるはずの家族の団らんがありません。
家族の団らんがないということは、家族から愛情を感じる機会が一般家庭に比べてはるかに少ないということです。
機能不全家庭で育った子どもは自己肯定感に欠け、他者に対して共感し理解する力の乏しい人格になりやすいと言われています。
そのように育った子どもが必ず社会不適合者になるとは限りません。
しかし、大人になってから社会と健全な関係を築けず苦しんでいる人々が少なからずいることも事実です。
機能不全家庭には、精神的・肉体的虐待、依存症(アルコール、ギャンブル、薬物、宗教等)、ネグレクト、親の死亡(自殺)、親の浮気、離婚、再婚、兄弟差別、借金、難病、望まれない出生など、さまざまな原因があります。
また、親や祖父母などが、機能不全家族で育った経歴がある可能性も高いといわれています。
なぜなら、機能不全家庭で育った子どもは、その環境や考え方が当たり前と認識したまま成長する場合か多く、自身が親になったとき、子どもに対して同じことをしてしまうためです。
恐ろしいことに、機能不全家庭は連鎖するのです。
いちばんの被害者である子ども
機能不全家族において、子どもは自らにまだ生活力がなく、家庭から脱出することが出来ないため、いちばんの被害者だといえます。
子どもの時期に得られるはずの愛情を得られず、社会のルールを学ぶこともできず、親の歪んだ思想を押し付けられたまま成長しなければなりません。
子供として楽しい子供時代を過ごすことが出来ず、自分の感情を押し殺し、傷つきながら。
親の顔色を窺って生活している子どもはおとなしく、さらに価値観や思考が周りとは違うため、子どもの社会に適合できず、不登校やいじめの対象になるケースもあります。
そして子どもが一人っ子の場合、問題はより深刻化します。
親からの過剰な期待や厳しい教育、理不尽な要望、愚痴の捌け口としての役割などが一身に集中し、逃げ場がないからです。
仮にもし、何か問題が起きたとしても「一人っ子で甘やかされているからだ」という偏見で片付けられ、心の傷が周囲に気付いてもらえることはありません。
機能不全家庭で育った子どもには、以下のような特徴があります。
子どもが自身の育った環境の不健全さに気付かなかった場合、同様に歪んだ価値観をもったパートナーを選び、自身もまた機能不全家庭を作り上げることが非常に多いとされています。
気付くことができた場合でも、その生活習慣から脱却するには大変なエネルギーを費やさなくてはなりません。
脱出できた子どもは、年老いた親を冷遇したり、時に暴力をふるって支配するなど、復讐し始めることがあります。
また、自分の親と同世代の老人を憎み、虐待することもあるようです。
さて、冒頭で「両親が育ったのもまた機能不全家庭だったのではないか」と書いたのは、父方の祖父もまた、妻に暴力をふるう夫だったためです。
そして母には、事あるごとに「私だって昔つらい思いをしたんだからアンタも我慢しなさい」と言われてきたためです。
私にもその血が流れていると思うとぞっとします。
けれど、育ってきた環境の異常性に気付けたという点では、私は両親とは違う(違っていてほしい)と思っています。