勘違いされがちですが、摂食障害とは、食欲の病気ではありません。
自尊心の欠如による精神の病であり、難病にも指定されているのですが、何も知らない人からは「甘えだ」などと、心ない言葉で傷つけられることもあります。
摂食障害になってしまう人の特徴
摂食障害の原因は、人間関係などの精神的ストレスと考えられています。
大きく分けて「拒食症」と「過食症」があり、両者は相反しているように見えますが、どちらも根底にあるのは「痩せたい」という気持ち、それから、自分を否定する気持ちです。
機能不全家庭での寂しさと虚無感
実は、摂食障害になってしまう人の多くは、毒親のもとに生まれ、機能不全家庭で成長したという背景があります。
特に、両親またはどちらか片方の親が高学歴であった場合、子どもへ求めるハードルがより高いものになるため、発症する可能性も高くなってしまいます。
親からの愛情を得るために「良い子」であることを強要され、親の期待に応えるため必死に努力し、親だけでなく自分で自分を否定してきた結果、子どもは摂食障害になってしまうのです。
毒親は、子どもを自分の分身、または所有物のように扱います。
常に人より優れた存在であることを要求し、自分の欲求が満たされなければ子どもに愛情を与えず、怒鳴ったり、けなしたりすることも少なくありません。
子どもは、親の期待に期待に応えることができれば愛情を得られるものの、本来なら当たり前に得られるはずの「無条件の愛情」を得られないことから、寂しさや虚無感を抱えながら成長していくことになります。
親からの終わらない要求
親の要求には際限がありません。
ひとつ期待に応えれば、またひとつ要求は増え、さらにハードルが高くなるのです。
そして、いずれ必ず、期待に応えられなくなる日がきます。
親から失望された子どもは、「自分は中身がなく、無力で、価値のない、無意味な存在」だと思うようになります。
空っぽになってしまった子どもが自分に自信があるはずもなく、自分の感覚を基準にして物事を考えることができないため、他人の評価をひどく気にするようになります。
周囲からどう思われるかを基準に物事を考え、他人と比較しなければ、自分という存在が分からないのです。
周囲から良い評価を得るには、他人よりも優れていなければなりません。
優れているところを探してみても、自分の中身は空っぽです。
そこで、人に誇れる学歴や職業、地位や才能、そして羨まれるような体型に意識が向いていくのです。
親に望され、それでもどうにかして自分を愛するためにもがき、強迫的なダイエットへと突き進んでいきます。
摂食障害の加速
親の期待に応えたかったのにそれができなかったショックから、親や自分の思い通りにならない自分をダイエットで完璧にコントロールすることで、安心感を得ようとします。
そして、食事をコントロールし、痩せた体型を維持することで、万能感や高揚感で満たされるようになっていき、どんどん歯止めが利かなくなるのです。
肋骨が浮き出ていると安心し喜びを感じたり、生理がくると「まだ太っている」と焦りや不安を感じたりもします。
自分が摂食障害であることを隠すため、人前では普通に食事をし、直後にトイレに行き、食べたものを全て吐くといった行動が日常的になっていることもあります。
過食後の嘔吐を繰り返すことで、手の甲や指に吐きダコができ、常に顔がパンパンに浮腫み、最終的には逆流性食道炎を発症し、自分の意思にかかわらず嘔吐するようになってしまうことも珍しくありません。
その他、抑うつ症状やリストカットなどの自傷行為、アルコールや下剤への依存、不安障害、PTSD、パーソナリティ障害などを合併することも多いとされています。
また、拒食から過食になった場合、不登校や休学、引きこもりに繋がる場合もあります。
少しずつ自分を許す方法を見つける
摂食障害を克服するためには、まず、その背景にある心の問題に目を向ける必要があります。
それを解決しなければ、たとえ一時的に過食や拒食が治まったとしても、強いストレスを感じたときなどに再発する可能性が高いからです。
摂食障害の根底にあるのは、自分を否定する気持ちです。
解決法として、よく「ありのままの自分を受け入れよう」となどと言われがちですが、すぐにできたら苦労しません。
それができないから苦しんでいるわけです。
以前、こんな記事を書きました。
はっきり言って即効性はありません。
でも、何度も何度も繰り返すと、少しずつ効いてくるはずです。
そして、その「少しずつ」が精神的に負担がかからない、いちばんの近道だと思っています。